初詣や旅先の神社などで、つい引きたくなる「おみくじ」。年の初めの運試しとして「大吉」や「凶」といった運勢に一喜一憂する人も多いかもしれません。ですがこの運勢の順番や意味、引いたあとの扱い方を正しく理解していますか?「小吉」と「末吉」はどっちが運勢がいいの?どの運勢でも引いたあとは結ぶの?など、知っておきたいおみくじの基本をまとめました!
目次
閉じる- おみくじの運勢、正しい順番って?
- 【①の様式】大吉の次の運勢が「吉」という神社仏閣
- 【②の様式】大吉の次の運勢が「中吉」という神社仏閣
- 明治神宮のおみくじは吉凶の順番がない
- おみくじの運勢それぞれの意味
- 大吉・吉・中吉・小吉・末吉・凶・大凶の意味
- 「伏見稲荷大社」は曖昧な運勢が多い?
- 「石清水八幡宮」には珍しい「未分」「平」がある
- 「長勝寺」には「大上吉」「大悪」が存在する
- 各運勢はどのぐらいの確率で出る?
- 「凶」の割合が多い神社は?
- 「凶」がない神社は?
- おみくじの内容の意味
- おみくじの正しい引き方
- おみくじを引いたあとは結ぶ?持ち帰る?
- おみくじに有効期限はある?
- おみくじを正しく理解して運気アップ!
おみくじの運勢、正しい順番って?
一般的におみくじの順番は、運勢の良い順に並べると下記の通り2通りあるのが一般的です。
また、さらに細かく分けた運勢では、
『大吉→吉→中吉→小吉→半吉→末吉→末小吉→凶→小凶→半凶→末凶→大凶』
『大吉→中吉→小吉→吉→半吉→末吉→(以下同じ)』
となります。こんなにたくさんあるとは驚きですね。しかし、なぜ複数のパターンがあるのでしょうか?「吉」の位置づけにはとても差があるように感じますが、実はおみくじについては「決まった順番はない」というのが正しい結論なのです。
神社によって様々な歴史と解釈があるように、おみくじにもまた神社の願いや考え方など様々な理由が反映されており、「絶対こうでなければいけない」という決まりはありません。それぞれの信仰や考え方を優先するところは、日本の良さでもあるのかもしれませんね。
さて、おみくじの順番についてはいろんな様式があると説明しましたが、具体的にどの神社が当てはまるのでしょうか?詳しくみていきましょう。
【①の様式】大吉の次の運勢が「吉」という神社仏閣
成田山新勝寺(千葉県)
大吉→吉→半吉→小吉→末吉→凶
浅草寺(東京都)
大吉→吉→半吉→小吉→末小吉→末吉→凶
愛宕神社(福岡県)
大吉→吉→中吉→小吉→末吉→凶
上記の神社仏閣は「大吉」「吉」の順番です。神社本庁の公式HPではこちらが基本の形とされています。しかし、おみくじには決まった順番がありませんので、参考程度にと考えても良いでしょう。成田山には「吉」と「小吉」の間に「半吉」がありますが、これは一般に言う中吉に近い運勢かもしれませんね。
【②の様式】大吉の次の運勢が「中吉」という神社仏閣
石清水八幡宮(京都府)
大吉→中吉→吉→末分→平→小吉→凶
福島稲荷神社(福島県)
大吉→中吉→小吉→吉→末吉→凶→大凶
鵠沼伏見稲荷神社(神奈川県)
大吉→中吉→小吉→吉→凶
こちらは「大吉」「中吉」の順番です。神社仏閣によって様々な違いがあることが見て取れます。京都・石清水八幡宮の「未分」「平」は、どちらの様式にもない珍しいタイプの吉凶です。この運勢の意味については後述「おみくじの運勢それぞれの意味」にて詳しく解説していますので、気になる方はそちらを先に読んでみてください!
明治神宮のおみくじは吉凶の順番がない
東京都にある明治神宮のおみくじは「大御心(おおみごころ)」と言い、本神社の独自のものです。
明治神宮は国家の管理下にあったため、第二次世界大戦以前はおみくじによる吉凶占いは行っていませんでした。現在のおみくじは戦後作られたものですが、他の神社と異なり吉凶の順番がありません。その代わり、明治天皇・昭憲皇太后の和歌より選ばれた30首に解説を加えたものを授けるようになりました。
このようにおみくじの運勢は神社仏閣ごとに異なるというのが結論です。大切なのは吉凶の結果ではなく、「それをどう受け止め今後どのように行動していくか」。ですので、仮に凶や大凶が出てしまっても落ち込む必要はないのでご安心を!
おみくじの運勢それぞれの意味
おみくじで代表的なのは「大吉・吉・中吉・小吉・末吉・凶・大凶」とお伝えしました。では、その7つのおみくじの運勢それぞれの意味を詳しく述べていきましょう。
大吉・吉・中吉・小吉・末吉・凶・大凶の意味
「大吉」の意味:おみくじの中で最も運勢が良いもの。今までの努力が実を結び、良い結果を得ることができるでしょう。健康や仕事など様々なことが上手く進んでいく運勢です。
「吉」の意味:神社仏閣による順位の違いはありますが、「吉」は大吉に比べるとやや運勢は下がりますが、それでも十分良い結果でしょう。
「中吉」の意味:神社仏閣により順番は変わりますが、吉の半分を表します。自分の努力次第で今後運勢が上がる可能性も大いにあります。
「小吉」の意味:中吉と末吉の間の運勢です。良くはないけど、悪くもない…というイメージでしょうか。真面目にコツコツと日々を歩みましょう。
「末吉」の意味:「末」は物事の終わりを表します。つまり「吉」の最後の運勢という意味なので、吉の中では一番劣る運勢でしょうがあまり落ち込まずに過ごしましょう。
「凶」の意味:一見悪いように思えますがそうではありません。「凵」の中の文字に注目してみましょう。これは「メ(=芽)」を意味していて、文字通り「芽」が出るまでの期間だと言い換えることもできると思います。「自分自身でいくらでも成長できる」という期待を込めた運勢ですので、落ち込む必要はないでしょう。
「大凶」の意味:残念ながら最も良くない運勢です。しかし「凶」同様、いくらでも挽回のチャンスはあります。肩を落とさず、頑張っていきましょう。
「伏見稲荷大社」は曖昧な運勢が多い?
京都府にある有名な「伏見稲荷大社」は商売繫盛の神様として親しまれています。ここはおみくじが全部で32番まであり、吉凶の種類はなんと17種類もあるんです。ですが「凶」「大凶」は存在せず、その代わり曖昧な表現の運勢が多いのが特徴的。
その「伏見稲荷大社」のおみくじの運勢・順番は、「大大吉→大吉→凶後大吉→凶後吉→末大吉→末吉→向大吉→吉→中吉→小吉→小凶後吉→後吉→吉凶未分末大吉→吉凶不分末吉→吉凶相半→吉凶相交末吉→吉凶相央」です。漢字ばかりで少々難しく思えますが、解読できれば簡単です。
「大大吉」:大吉のさらに上の運勢
「凶後」:凶のあとに訪れる運勢(例:「凶後大吉」は凶のあとに大吉になります)
「末大吉」:大吉の中で最後に良い運勢
「向大吉」:これから大吉に向かう
「後吉」:これから吉に向かう
「吉凶未分末大吉」:今は判断ができないが今後の努力次第で大吉になる
「吉凶不分末吉」:吉凶の分かれ目で努力次第で吉になる
「吉凶相半」:吉と凶が半分ずつ
「吉凶相交末吉」:吉と凶が入り混じっているが今後吉になる
「吉凶相央」:吉と凶が入り混じった運勢
「石清水八幡宮」には珍しい「未分」「平」がある
京都府にある「石清水八幡宮」のおみくじで珍しいのは「未分」「平」があることです。本神社では「大吉」「中吉」「吉」「未分」「平」「小吉」「凶」の7種類があり、これらは太平洋戦争前後に作られました。「平」は「たいら」と読みますが、「へい」「ひら」と読むところもあるのだとか。
そして気になる「未分」「平」の順位。これは神社によって解釈がやや異なりますが、吉と凶の間に入ることが多いです。つまり「吉でもなく、凶でもないそのちょうど真ん中あたり」ということですね。なんとも微妙な運勢ですが、レアな運勢を引いたと考えれば、むしろ幸運かもしれません。
「未分」:吉凶のどちらかまだわからない
「平」:吉や凶といった変動があまりない
「長勝寺」には「大上吉」「大悪」が存在する
「長勝寺」は、神奈川県鎌倉市にある由緒あるお寺です。こちらのお寺のおみくじは、1から100番まであり、その中の運勢に「大上吉」「大悪」がそれぞれ4枚ずつ入っています。これもなかなか珍しい運勢ですよね。
「大上吉」:大吉の次に良い運勢
「大悪」:凶や大凶と同じ意味
各運勢はどのぐらいの確率で出る?
多くの神社仏閣が採用している「元三大師百籤」というおみくじの元になる書物があるのですが、これは「大吉」から「大凶」までを1から100番までに表しています。
「元三大師百籤」ではその100番までのうち「吉」以上が3分の2、「凶」が3分の1の割合です。良い運勢のおみくじを引ける確率の方が高いことから、引いた人がなるべく明るい気持ちになれるよう配慮されているようですね。
とは言え、吉凶の確率は神社仏閣によって異なるもの。下記には「凶が多い」ところと「凶がそもそもない」ところをまとめました。悪い運勢にビクビクしてしまうなら、いっそ「凶」がない神社仏閣を選ぶというのも懸命かもしれません。
「凶」の割合が多い神社は?
浅草寺(東京都)
100本中「凶」30本。
道明寺天満宮(大阪府)
60本中「大凶」1本、「中凶」2本、「小凶」8本
今宮戒神社(大阪府)
50本中「凶」12本、「半凶」2本。
浅草寺は凶が多い神社として有名ですが、なんと10分の3本の割合!道明寺天満宮が60分の11本、今宮戒神社が50分の14本なので、やや高い確率で凶が当たるようです。もしこれらの場所で引くときは心して挑みましょう!
「凶」がない神社は?
熱田神宮(愛知県)
「大吉」「吉」「中吉」「小吉」「半吉」「末吉」
十日恵比寿神社(福岡県)
「大吉」「中吉」「小吉」「吉」「末吉」
熊野那智大社(和歌山県)
「大吉」「中吉」「吉」「小吉」
熱田神宮は愛知で言わずと知れた神社で、三種の神器の一つ草薙神剣の鎮座にはじまります。凶がないため、どうしても良い結果を出したい人にとっては嬉しいですよね。
十日恵比寿神社には様々な種類があって、「50円みくじ・恵比寿みくじ・めでたいみくじ・開運みくじ」という、引くだけでご利益がありそうな名前のおみくじがあります。
熊野那智大社は、「日本一大きなおみくじ」と言われ、おみくじの箱が133センチもあるそうです。両手で持って振るのもなんだか楽しそうですね。
おみくじの内容の意味
願望:「こうなって欲しい」という望みが叶うかどうか
恋愛:片思い・両思いを含めた恋愛に関して、これから先の未来について
待人:恋愛の相手だけでなく仕事上の相棒なども含めたキーパーソンが現れるか
走人:自分のところから離れてしまう人の有無
縁談:結婚についての良縁があるか
商売:商い事、売り買いに関する運勢
失物:探しているものが出てくるかどうか(「物」に限らない)
住居:転居や新しく家を建てる場合の良し悪し
旅立:旅行はするべきか(近場の外出も含む)
健康:病気、怪我の有無。あった場合は治癒までの期間
学問:試験、勉強の結果に関するもの
争事:裁判、人との喧嘩、試合に勝てるのか
抱人:自分のところで雇っている人に関する項目
おみくじの正しい引き方
おみくじを引くというのは、神様からのお言葉をいただける貴重な機会。「とりあえず引いて運勢だけをみて終わり」ではなく、せっかくなら正しい引き方を知っておきましょう。
①先に参拝を済ませておく
②おみくじを引く際に「何について聞きたいのか」を具体的に想像する
③吉凶の結果ではなく、自分が聞きたかったことを重点的に見る
おみくじは、神様の助言が書かれた神聖なものなのです。ついつい「大吉」や「凶」といった運勢に気を取られがちですが、おみくじで大切なのは和歌や漢詩といった「メッセージが書かれた部分」です。今のあなたへ向けた教訓・向かうべき道が記されていることでしょう。
吉凶に一喜一憂するのではなく、「参拝を済ませ、落ち着いた気持ちで神様からお言葉をいただく」ことが正しい引き方なのです。
おみくじを引いたあとは結ぶ?持ち帰る?
おみくじは「木に結んで帰っても、大切に持ち帰っても大丈夫」です。
おみくじとは神様からのお告げです。そこには未来に関するメッセージも含まれています。なので、忘れないように持ち帰って、時々見返してみると良いかもしれません。財布などに入れておくと、間違えて捨ててしまうことや行方不明になることも防げますね。
新しくおみくじを引いたときは、古い方を木に結んで帰っても良いでしょう。その場合は引いた神社でなくても構いません。自分が結果を受け止め、これからの生活に役立てられるのであれば「結んで帰る」でも「持ち帰る」でも良いのです。
おみくじに有効期限はある?
おみくじには決まった有効期限はありません。自分の願いが成就したときが、おみくじが役目を終えるタイミングでしょう。大体の人は初詣で今年の運勢を占う目的として引くので、次の初詣時にまた新たなおみくじを引き直します。なので、その場合はおおよそ1年の期限ということになります。
それ以外では、例えば旅行先で「この旅行の運勢は…」とおみくじを引くこともあるでしょう。この場合は「無事に旅が終わるまでが有効」ということですね。
このように、おみくじとは引く時の目的によって変わるため、決まった有効期限はありません。
おみくじを正しく理解して運気アップ!
おみくじとは、神様からあなたに向けた人生へのメッセージが書かれたもの。神様に参拝し、きちんと自分に向き合えば良い結果を迎えることができるでしょう。神社仏閣によって様々なおみくじが用意されているので、その違いも楽しんでみてはいかがでしょうか?
参考文献:島武史著「日本おみくじ紀行」筑摩書房2001.5.9